決して強がりではなく、はげの自分が好きだし誇りに思う

2か月半ぶりに理髪店に行ってきた。

いつもであれば6週間、つまり1か月半おきがサイクルなのに今回1か月伸びたのにはいくつかの理由がある。

その一つは、前回にいつもより短めにカットをしてもらったこと。

もう一つは妻から止められていたこと。

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普段は9ミリというカバーをつけてバリカンをかけてもらうところ、前回は6ミリにしてもらったことで、やや伸びるのが遅かった。

とは言っても、髪の毛が伸びるスピードは1日1ミリほどらしいから、理論上は3日で追いついてしまう計算になる。

それでもいつもより長くなるのがゆっくりだった気がするのは気のせいだろうか。

たぶん気のせいだろう。

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もう一つの妻の反対というのは、私の頭を見て、「はげていたところから毛が生え始めているよ。きっとこのまま伸びていくよ」と根拠のない話を持ち出したから。

「そんなはずないよ」と笑いつつ否定するが、がんとして譲らない妻、「絶対生えてくるって」と私の頭を小突き回す。

妻の勢いに圧倒された私は、「わかったわかった、しばらく様子を見よう」と応じざるをえなかった。

妻もその言葉には満足そうだった。

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さて、はげは解消されたのか。

そんなはずはない。

いつものように、産毛のような細い毛がウィンブルドンのセンターコートのようにまだらに生えているばかりで、生えそろうというにはほど遠い状態が続いた。

一方、伸びなくてもいいと思われる後頭部から角の辺りは伸び放題で散らかってしまった。

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数日後には職場の後輩の結婚式出席も控えている。

この惨状を見て、さすがの妻も観念したのか、「好きなようにやってきていいよ」と白旗を上げた。

とてつもなくわずかながら、奥さんの言うように奇跡が起こらないとも限らないとひそかな期待も打ち砕かれた格好だ。

もう2度と、幻想は抱くまいと理髪店へ。

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この顛末をマスターに話すと、とても喜んでくれた。

そして手際よく6ミリのバリカンで刈り込んでくれた。

ああ、気持ちいい。

はげでもいいじゃないか。

実は私はこのはげが嫌いではない。

むしろ誇りに思う。

決して強がりではなく。