コーヒーメーカーにまつわる学生時代のほろ苦い思い出

職場のコーヒーメーカーのポットが壊れてしまったので、急きょネットで購入した。

以前、会社の景気がいい時は、これら備品も経費で買うことができたのだが、最近の経営状況の悪化から、ほとんどが個人持ちにせよとの命令が下り、今やティッシュボックス1個も買ってはらなぬという。

公私混同の都知事の例を出すまでもなく、最近はこの手の支出には、内外ともに厳しくなっていることを痛感する。

ある面、歓迎すべきことだと思う。

職場だから、自分のすべてがそこに属しており、私的な面は一切ないというのは、あまりに窮屈だ。

ティッシュ一枚も、職場支給のものであれば、一々使うのも気が引けるものがあるが、自己負担ならば、その気兼ねもない。

今回のコーヒーメーカーも、会社の承認を得るべきか考えかけたが、すぐやめた。

自腹で買うことにした。

とりわけコーヒーのように、気持ちをやすらぐことを目的とするものに、公というタガをかけたくないという思いもある。

定年というゴールも視野に入り、おかげさまで給料も若手よりはたくさんいただいていることもある。

それで、少しでも職場のみんなが笑顔になってくれればそれでいい。

などと、いろいろ言い訳をつけているが、結局のところ、とにかく、自分がコーヒーを飲みたいだけ。

カリウムが高い飲み物とはわかりつつ、コーヒーだけはやめられない。

コーヒーといえば、思い出すほろ苦い経験がある。

学生時代、某出版社でアルバイトをした時のこと。

社員から、コーヒーを入れておいてと頼まれたものの、レギュラーコーヒーの入れ方を全く知らなかった私は聞くこともできず、インスタントコーヒーのようにコーヒーの粉をポットに入れてしまったのだ。

それを見た社員は怒ることもなく、「初めてなんだね」と、一から手順を丁寧に教えてくれた。

その時に飲んだレギュラーコーヒーが自分にとって、初体験だったのだが、本物のコーヒーのおいしさというものはこういうものだったのかと、身体が震えるような思いがしたことを覚えている。

以来、ほろ苦い記憶とともに、コーヒーを飲むたびに、この時の失敗を思い出す。

ああ、あのやさしかった社員の方は今もお元気にしておられるのだろうか。

職場のコーヒーメーカー。古いものも完全には壊れていないので、しばらくは2台体制になる。いつも朝一で入れてくれる若手社員には感謝である
職場のコーヒーメーカー。古いものも完全には壊れていないので、しばらくは2台体制になる。いつも朝一で入れてくれる若手社員には感謝である