人間観察

通勤途上で見かける印象深い人々(13)目の前に倒れこんだ若者を前に何もできず

通勤途上には、さまざまな出来事があふれていて、興味が尽きることがない。

人が行き交う電車やホームでは、普段ではなかなかお目にかかることがないシーンに出くわすことがある。

今回はトラブル編で。

私自身のトラブルではなく、目撃遭遇したに過ぎないトラブルだけど。

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JRの某駅で電車の扉が開いた途端、倒れるように人が出てきた。

当初は車内でケンカがあり、先に降りた人をつかみかかったのかなと一瞬思ったがそうではなかった。

ラフな格好をした若い男性が、蒼白の面持ちで倒れたのだった。

口元にはやや泡も見える。

失神してしまっているようだ。

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電車から降りた人間が見知らぬ顔で倒れた男性を避けていく中、たまたまホームで待っていた私と白人の男性が救護せざるをえないシチュエーションとなった。

白人男性は、しきりに「アーユーOK?」を繰り返すも、反応はなし。

私は電話でどこかに連絡をしようと思うが、いきなり119番ではなく、駅員に知らせるべきだと駅の電話番号を検索する。

ところがなかなか見つからない。

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いらいらしながらスマホと格闘していると、駅員が2人、かけてつけてきた。

どうやら電車を降りた人が駅員に知らせたようだ。

懸命に声をかける駅員、意識もうろうながら、答えようとする男性。

駅員は、「タンカ、タンカ持ってこい」と叫んでいた。

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そんな状況を見守っているうちに次の電車が入線したので、駅員に「よろしくお願いします」と声をかけ、乗り込んだ。

自分としては、結局のところ何もできなくて、1本電車を見送っただけだった。

それはそれで仕方ないにせよ、自分としてはやるべきことはやったという充実感はあった。

あの若者はその後、どうしたのだろうか。

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自身、手帳を持っている障害者だから、手助けが必要な側にいて、助ける側ではないことは十分認識しているつもりだ。

とはいえ、降って湧いたように目の前に出現した瀕死の若者を横目で見捨てるという選択肢もなかった。

人間、助け助けられるから、この社会が成り立っているのだと思う。

改めて、あの若者の無事を願う。