おもひでぽろぽろ

幼稚園での粗相を嘘演技で誤魔化す【大井町三丁目のおもひでぽろぽろ11】

私が通った幼稚園は小野学園の付属だった。
 
小野学園といえば、歌手の森昌子さんの出身校。
 
デビューしてからは堀越学園に移ってしまったので短い在籍だったらしいが。
 
ちなみに私が通った山中小学校の卒業生に郷ひろみさんがいる。
 
昭和を代表するアイドルと同じ学校だったことは奇遇とはいえ面白い。
 
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小野学園の幼稚園部に通ったのは最終年次のみだった。
 
私立でそれなりに学費が高いので、1年通わせるのが精いっぱいだったことはわかるにしても、なぜお金のない中、私立に通わせたのかは不明のまま。
 
ちなみに近くの公立幼稚園で現存するのは伊藤幼稚園だが、おそらく定員漏れしたのだろう。
 
人口ボーナス期だった当時は今以上に待機児童問題は苛烈だったに違いない。
 
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あずま荘から小野学園までは約1キロ弱あり、私は徒歩で通っていた。
 
今ではこの距離を園児一人で歩いて通わせることはほとんどないだろう。
 
いかにも平和で犯罪も少ない時代を反映していると思う。
 
ただ、私はバス通学組がうらやましくて仕方なかった。
 
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バスで帰る友達たちがなぜかセレブに見えたから。
 
もちろん当時はそんな言葉はなかったとしても、彼らの優越感はひとしおだったはず。
 
しかし、私の黒歴史の中を分け入ると、この時ばかりはバス組でなくてよかったと安堵したことがある。
 
教室で粗相をしてしまった、つまり大きい方を漏らしてしまった時だった。
 
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当時のトイレは扉が半分以上筒抜けになっていたため、大トイレを使うのは恥ずかしいという定説があった。
 
私もその定説に乗って我慢していたら、漏れてしまった。
 
帰りの挨拶時にはすでに「なんか臭い」と素直に告発する学友もいたが、ここは知らんぷりを貫いた。
 
もしかしたら、人生最大の嘘演技だったかもしれない。
 
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漏れたままの1キロ徒歩は地獄そのものだったが、バス組を地獄の巻き添えにせずに済んだのは、幸いといえよう。
 
この時ばかりは、私の苦悩を察知したのか、母もあまり小言を言わず対処してくれたと記憶する。
 
とてもつまらない偶然の一致だが、幼稚園のクラスは黄色組だった。
 
だから余計に記憶に染み付いて離れないのかもしれない。